初代ウイポの1993年の重賞(30年前の競馬)と2023年現在の重賞を比べてみよう~その①~

投稿日:2023/08/25

皆さんこんにちは、今年競馬を始めたばかりの競馬初心者・小松です。
元々僕が競馬に興味を持ったキッカケが競馬ゲーム・・・といっても最近流行りのウマ娘じゃない、ダビスタだったんです。
それで今年ダビスタを買いました、さらにはウイポも買いました、ドハマりしました。ハマったあとでウマ娘も始めました。以上です。

そして、このウイポ(WP)こと、ウイニングポスト(Winning Post)という競馬ゲームシリーズ。
今年最新作のウイニングポスト10が発売されたのですが、なんと30周年記念作品なんですね。
競馬ゲームそんな詳しくなかったけど、ダビスタと同じぐらい長い歴史を持ち、今でも毎年新作が発売されるという人気シリーズなんです。
(30年なのに『10』なのは昨年の『ウイポ9 2022』のように刻むからです)

そのウイニングポストの第一作PC-98版もSteamで販売されているんですが、これがまた面白いのなんの。
現代のウイポと違い、『競走馬育成シミュレーション』というより、まさに『馬主体験シミュレーション』といった趣きの一作。
これは未来永劫色褪せないタイプの作品だなぁ~と強く感じました。
(もちろんウイポ10も遊んでいます、初心者なんで中々思い通りにいかないけど楽しいぞ)

しかしこの初代ウイポ、30年前のゲームとあって、結構現在の競馬界と違うところも多々あります。
競馬に限らず古いスポーツゲーム久々遊ぶとそういうのがあって面白いですよね、プロ野球だったら近鉄やブルーウェーブが健在でソフトバンクがダイエーだったり、楽天がまだなかったりとか・・・

そこで、勉強がてら初代ウイポの重賞レースを現在と比較してみようじゃないか!というのが今回のブログの企画です。
競馬初心者なんで、このレースはこんなレースなんだなぁ、と学ぶ意味でも調べてみたいと思います。

初心者だから間違えているところも多々あるかもしれませんが、競馬ファンの先輩方はコメントで指摘してもらえると助かります・・・!

説明

初代ウイポの発売時である30年前の競馬界の重賞競走を『旧』とし、2023年現在のものを『現』表記で書きます。
レース名・グレード・開催競馬場・距離・出走資格・負担重量、この6つを比較します。
現在の施行条件と違う点があれば、赤字の太字で記載します。変わっていなかったら『変更なし』です。

開催競馬場ですが、基本的には2023年の競馬番組表を『現』で表記していますが、2020年~2023年の間の京都競馬場の改修により代替開催されていた重賞に関しては、改修以前の京都競馬場での施行条件を記載します。

馬齢表記は2001年以降の現表記に統一します。例えば『旧』で○○4歳ステークス』と書いてあるのに出走条件が『3歳』となっているのは間違いではなく、現馬齢表記に統一した形です。
そのため、出走条件が4歳(2000年まで)→3歳(2001年以降)といったレースは、馬齢に関しては条件の変更は無かったものとして捉えます。

負担重量は、別定は全部別定として捉えます。収得賞金の賞金別定なのか、GⅠ勝利によるグレード別定なのか・・・そこまで調べている時間がなかった(特に30年前のほうは情報が中々調べづらい)ので、分かるところは補足的に書きますが、賞金別定がグレード別定になったものを『変更なし』と書いていることが多いと思います。これに関しては仕様だと思ってください(ただコメントで補足してくださるのは大助かりです!よろしくお願いします!)。
また、開催時期の変更による負担重量の変更も、負担重量の種類が変わっていない場合は『変更なし』とします。

ただし、調べるのは1993年に施行されていた全重賞競走ではなく、Steam復刻版のPC-98版ウイニングポスト(以下、初代ウイポ)ゲーム内の『競馬ニュース』のコーナーで見られる『今月の重賞』に記載されているものとします。
各重賞の開催時期も初代ウイポのものに合わせます。

大前提として、初代ウイポには札幌競馬場と函館競馬場は実装されていません。
サマーシリーズも無かったころの夏競馬故に軽視されていた可能性、土日の区別が無く週末に二場・4Rしか開催できない(合わせて一週で8R、毎月四週(一ヶ月32R)で五週の月は存在しない)というシステム上、もしくは容量の都合かは分かりませんが・・・
とにかく札幌と函館は無いものと思ってください。

あと多分このゲームはプレイヤーは(たぶん)内国産馬しか使えないため、当時外国産馬(マル外)が出走できたか否かの条件については深く掘り下げないつもりです。
クラシックや天皇賞については補足するつもりですが。

また『競馬ニュース』に記載がなくても紹介するレースはあります。
30年前には存在しないけれど今日ではお馴染みのレース・・・例えばアイビスSDとか。
そういったものは全ては紹介できませんが、いくつかは書きます。書くか否かの判断基準はとくにないです。

一番重要なのが情報が間違っているかもしれないことです。
お恥ずかしながらこればっかりはどうしようもないです。間違えないように書いているつもりではありますが、競馬初めて数ヶ月なもので、知識不足や間違って覚えているものもあると思います。
また、実際の1993年の競馬界だけでなく、初代ウイポのゲーム内の情報も元にして書いているため、もしかしたらゲーム内の設定が現実と同一ではない可能性があります。発売は1993年ですが開発時は1992年以前の競馬番組も参考に作っていたでしょうし。

もし間違ってたらコメントで指摘してくださると助かります。調べ直して書き直します。
特にクラシックやトライアルの出走条件・・・騙馬や外国産馬あたりが怪しいかなとは自分でも思います・・・
あとそのレースの傾向・・・近年は前走どのレースを使った馬が勝ちやすいのか、とか、どんな路線の馬がそのレースを使うか、などといったことも軽く調べて表記しましたが、これも初心者が聞きかじっただけの知識故にすごくトンチンカンなことを書いている可能性があるので、明らかにおかしかったら間違ってるぞと教えてくださると・・・助かります!

1月の重賞

1月の重賞5つ。

中山金杯

旧:金杯(東) GⅢ 中山 芝2000m 4歳以上 ハンデ
現:中山金杯 GⅢ 中山 芝2000m 4歳以上 ハンデ

正月の風物詩。
1952年に『金杯』として創設。ただし1966年からは京都で同名のレースが開催されるようになったために、以降は便宜上『金杯(東)』と呼称されることが多かった。
1996年に西と区別するため現名称に改称。
京都金杯(改名後の金杯(西))と同日の開催だが、こちらの方が出走時間が早いことが多く、例年であればこのレースが新年最初の重賞となる。
「一年の計は金杯にあり」との格言もあるが、ハンデ競走故に荒れることも多い。

京都金杯

旧:金杯(西) GⅢ 京都 芝2000m 4歳以上 ハンデ
現:京都金杯 GⅢ 京都 芝1600m 4歳以上 ハンデ

正月の風物詩。
元々は『迎春賞』として1963年に創設されたが、1966年の『金盃』を経て1970年に『金杯』に改称。中山との区別のために『金杯(西)』と呼ばれるように。
こちらも東の金杯同様、1996年に現名称に改称。
長らく東西の金杯は距離・条件共に同じだったが、2000年に距離が1600mに短縮された。
これにより、中距離は中山金杯、短距離・マイルは京都金杯と、その馬の路線に応じた使い分けがなされるように。
やはりこちらも中山同様荒れやすく「金杯で乾杯」を迎えられるか「金杯で完敗」になるかは分からない。

京成杯

旧:京成杯 GⅢ 中山 芝1600m 3歳 別定
現:京成杯 GⅢ 中山 芝2000m 3歳 別定

1961年の創設当時から、その年のクラシックを占う一戦、という立ち位置は変わっていない。
だが、1999年に距離が1600mから2000mに変更され、皐月賞(中山・2000m)と同じ条件となる。
よりクラシックへの適性が測れるレースと進化した。

・・・はずなのだが、ローテの都合上12月の2歳重賞に出走した場合わざわざ1月に出走するメリットが薄く、皐月賞への『叩き』としても時期が開きすぎ、関西馬なら遠征が必要など、クラシック有力馬が使うことの少ないレースとなっている。
その影響もあり、70年代までは活躍馬を出していたが、以降の京成杯の勝ち馬はクラシックで活躍するどころか以降GⅢですら勝てなくなることが多く、呪いだと言われるようになっている。
しかし今年2023年、遂にソールオリエンスが京成杯を制した馬として初めて皐月賞を勝利。さらに6着馬のシャンパンカラーも同年のNHKマイルカップ(GⅠ)を制覇した。果たして今後呪いは解かれるか。

シンザン記念

旧:シンザン記念 GⅢ 京都 芝1600m 3歳 別定
現:変更なし

戦後初の三冠馬、加えて天皇賞(当時勝ち抜け制で春秋連覇不可)、有馬記念と、当時の大レースを全て制した"五冠馬"にして"最強の戦士"ことシンザン
そんなシンザンを讃え彼の引退から1年後の1967年に創設されたレースなのだが、優勝馬から活躍馬がほとんどまったく出ない・・・という状況が創設時より長らく続いてしまった。
しかし近年は2歳重賞に出れなかった遅咲きの馬、デビューが遅れた馬がこのレースを足掛かりに飛躍するようになることが多く、優勝馬だけでなく上位馬にも活躍馬が出るようになったことで出世レースと言えるようになり、名馬シンザンの名にふさわしい重賞となった。

AJCC

旧:アメリカジョッキークラブカップ GⅡ 中山 芝2200m 4歳以上 別定
現:変更なし

通称:AJCCアメリカJCC表記も多い。ニューヨークジョッキークラブから優勝杯を貰い1960年に創設された。
当初は芝2000mのハンデ戦、新年最初の重賞と、金杯(東)(現:中山金杯)の立ち位置だったが、翌年1961年に施行時期や条件を交換・・・言ってみれば名前だけ取り替えっこし、中山金杯は今の形となる。
AJCCの方は取り替えっこした後に色々変更があったが、グレード制導入の1984年以降は現在の形となる。

ちなみに『ジョッキークラブ』というのは日本の『騎手クラブ』のような騎手たちの集まりとは違い、競馬を運営したり統括する団体・・・つまり日本における日本中央競馬会(JRA)のような組織のことである。
仏国のGⅠであるフランスダービーことジョッケクルブ賞の『ジョッケクルブ』もジョッキークラブのことを指す。

日経新春杯

旧:日経新春杯 GⅡ 京都 芝2200m 4歳以上 別定
現:日経新春杯 GⅡ 京都 芝2400m 4歳以上 ハンデ

1954年に『日本経済新春杯』の名で創設されたときは、芝2400mのハンデ競走だった。
このレースで最も有名であろうテンポイントの故障の翌年、1979年に現名称に変更。
1981年には負担重量が別定になり、1987年には2200mに距離短縮され、同時期に開催されるAJCCと条件が統一される形となった。
しかし1994年からは再びハンデ戦に、1995年には再び距離が2400mになり、結局創設時の条件に戻り今日に至る。
なお2021~2023年は京都競馬場の改修により中京競馬場で代替開催されたが、その際には久々に2200mで行われた。

2月の重賞

2月の重賞9つ。

ダイヤモンドS

旧:ダイヤモンドステークス GⅢ 東京 芝3200m 4歳以上 ハンデ
現:ダイヤモンドステークス GⅢ 東京 芝3400m 4歳以上 ハンデ

創設当初は4月に行われるレースだったので、4月の誕生石であるダイヤモンドの名が付いたのだが、1984年のグレード制導入後は1月に行われるようになり、1987年からは1月末~2月頭に行われ、1997年からは現在の2月中旬に行われる形に定着する。
また、創設時は中山・2600m・別定という条件だったのだが、1965年の3200mへの距離延長などいくつかの変遷を経て、1981年に東京・3200m・ハンデとなる。その後中山で数回開催されるも以後東京開催で定着。
3200mへの距離延長以降、同距離で行われる天皇賞(春)の前哨戦としての扱いが強くなるが、阪神大賞典(GⅡ)などを経由した組と比べてしまうと見劣りしてしまうのが現状。1983年までの天皇賞(秋)が距離3200mだった時代はこのレースを制した馬が秋天を優勝するケースも多く見られた。
2004年からは東京競馬場の改修の影響で3400mとさらに距離延長。ステイヤーズステークス(GⅢ)の3600mに次ぐ、国内で二番目に長い距離の重賞競走となった。

クイーンC

旧:クイーンカップ GⅢ 東京 芝1600m 3歳牝馬 別定
現:変更なし

1966年に創設された牝馬限定戦で、牝馬クラシック路線に繋がるレースの一つ。
当初は中山・1800mだったが1971年に1600mへ短縮、1981年からは東京開催となった。桜花賞と同距離だがこのレースから桜花賞馬は生まれにくく、優勝馬に至っては1976年のテイタニヤ(オークスとの二冠達成)以降出ておらず、むしろ東京開催のオークス馬の優勝馬、好走馬を多く生み、東京コースの馬場適正、左回りコースの適正を見るのに使われるケースが多い。
近年は同様の理由で桜花賞後にオークスではなく東京・1600mと本競走と同条件のNHKマイルカップ(1996年創設)への出走を見据える牝馬にとっても重要なレースとも言えるようになった。
1982年~1997年までは1月末に行われることが多かったが、1998年以降は2月前半で固定される。

京都牝馬S

旧:京都牝馬特別 GⅢ 京都 芝1600m 4歳以上牝馬 別定
現:京都牝馬ステークス GⅢ 京都 芝1400m 4歳以上牝馬 別定

1966年に創設された当初は、秋に行われる3歳以上牝馬・芝2000mのレースであった。
どことなく現在の秋華賞を思わせるが、当時は牝馬三冠の三戦目が存在しなかったため、菊花賞を狙う牝馬の前哨戦としての立ち位置でもあった。
創設3年目の1969年より距離が1600mに変更され、翌年1970年のビクトリアカップ創設による牝馬三冠成立後はその前哨戦の一つとして施行され続けていたが、1983年に1月末~2月頭に移動。2001年には現名称に変更。
1983年以降古馬牝馬のレースとなってからは、繁殖入りのための評価を得る側面を持つ重賞だったが、2006年に春の古馬牝馬の頂点を決めるヴィクトリアマイル(GⅠ)が新設されたことにより、その前哨戦としての役割も担うようになった。
2016年以降は1400mで施行されている。

フェブラリーS

旧:フェブラリーハンデキャップ GⅢ 東京 ダート1600m 4歳以上 ハンデ
現:フェブラリーステークス GⅠ 東京 ダート1600m 4歳以上 定量

たぶん今回紹介する中で一番成長したレース。
1984年のグレード制導入年に新設された数少ないダート重賞で、中央競馬では最も古い歴史を持つダート重賞。
当初は名前通りハンデ戦だったが、1994年にGⅡに昇格、別定戦になり名称もフェブラリーステークスに改称。
中央・地方の所属に関わらず互いの(一部の)レースに出られる『交流元年』の1995年以降、長年低かったダートの価値はさらに上昇。
そして1997年には遂にGⅠ昇格、定量戦となる。中央競馬初のダートGⅠが誕生した。春のダート王者決定戦に位置付けられ、一年で最初に行われる中央競馬のGⅠレースでもある。中央競馬としてはダートの1600mコースは東京競馬場が唯一なのだが、ほぼ全ての競馬場で芝コースが存在しない地方競馬のダートコースのそれと違い、スタートから約150mほどは芝コースの上を走ることになり、長く芝を走れる外枠の方が有利(芝の方が速く走れるため)、という珍しい特徴を持つ。ダート馬でも芝適正があった方が有利と言える。
時たまダート適正を試したい芝馬の出走があるが、流石にそれだけで勝てるほど甘くはない。

東京新聞杯

旧:東京新聞杯 GⅢ 東京 芝1600m 4歳以上 別定
現:変更なし

『東京杯』として創設された当初は2400mだったものの、2000m、1600mと次第に距離が短縮された。
1984年に1600mになってからは、同じく東京・1600mで開催される安田記念を目指す春古馬マイル路線の年明け初戦として、GⅢながらも優駿たちが揃うレースとなっている。
近年は同じく東京・1600mで行われるヴィクトリアマイルを目指す牝馬たちのステップとしても使われるようになった。

共同通信杯(トキノミノル記念)

旧:共同通信杯4歳ステークス GⅢ 東京 芝1800m 3歳 別定
現:共同通信杯 GⅢ 東京 芝1800m 3歳 別定

1967年に『東京4歳ステークス』として創設。10戦10勝の二冠馬ながら破傷風で日本ダービーのあとに命を落とした"幻の馬"トキノミノルの名が1969年以降副題として付けられ、現在でも競馬番組表では『(トキノミノル記念)』の表記が最後に入る。1983年からは『共同通信杯4歳ステークス』となり、馬齢表記の変更があった2001年に現名称に改称。
前年の2歳GⅠからも、この先出走する皐月賞へもローテの間隔にゆとりがあることから、クラシックを狙う有力馬たちがよく利用するため、トップクラスの出世レースとして名高い。東京コースでの経験を積んだ結果ダービー馬が生まれることも珍しくなく、先述のクイーンC同様適正を計るのにも使われる。
調教による調整が進歩した近年は本レースから皐月賞へ直行することも多いが、本番となる大レースの前に調整のための『叩き』のレースへの出走が必須だったためローテ間隔が厳しかったかつての競馬界においても、このレースの優勝馬は活躍するものが多く、ミスターシービー、ナリタブライアンといった三冠馬もこのレースを勝利している。

きさらぎ賞

旧:きさらぎ賞 GⅢ 京都 芝1800m 3歳 別定
現:変更なし

創設時は中京・ダート1200mであったが、その後施行条件が度々変わったのち、1991年から現在の条件に落ち着いた。
同時期開催の共同通信杯と同じ距離であり、かつてはクラシックを見据えた関西の有力馬が集う出世レースだったが、東京コースでの経験を積ませたい関西馬陣営の思惑などもあり、以前ほどの権威はなくなってしまっている。
なお京都競馬場改修のため、2021~2023年は中京・2000mでの開催。

目黒記念

旧:目黒記念 GⅡ 東京 芝2500m 4歳以上 ハンデ
現:変更なし ※施行時期は変更

東京競馬場が府中に移転する前、前身であった目黒競馬場の名を未来に残すために1932年に創設された、日本初のハンデ競走。第1回日本ダービーと同年の一週間前に第1回を迎えた、現存する日本最古の重賞競走である。
創設時は3400m、一時期は3900mまで距離は伸びたが、1950年の目黒記念(秋)以降は2500mに定着。
かつては春と秋の二回開催だったが、1984年のグレード制導入年に、アルゼンチン共和国杯(GⅡ)の施行条件が変更され、目黒記念(秋)のポジションに収まったことで、秋開催は廃止。目黒記念(春)が唯一の開催となる。秋開催は3200m時代の天皇賞(秋)の前哨戦とされた他、1980年までは天皇賞が勝ち抜け制だったため、春秋共に天皇賞馬の出走も多く見られた。
施行時期は度々変更されてきたが、1973年からは2月の開催でしばらく落ち着く。1997年に6月に移行(同時に4歳以上から3歳以上になる)。
2006年からは"同期"の日本ダービーと同日の開催に。メインレース級の重賞が一競馬場で同日開催されるのは他に例を見ない。2012年には出走条件が再び4歳以上に戻る。春古馬GⅠである大阪杯、天皇賞(春)を経た後に出走する馬も多い。

京都記念

旧:京都記念 GⅡ 京都 芝2400m 4歳以上 ハンデ
現:京都記念 GⅡ 京都 芝2200m 4歳以上 別定

かつてはハンデ重賞として1942年に創設された京都競馬場最古の重賞春と秋の二回開催だったが、1984年に秋の競走が廃止。
距離は3500mで始まりいくつかの変遷を経たのちに中距離~中長距離路線として確立され、1965年からは2400mに。
春秋開催のハンデ時代も春秋天皇賞への前哨戦として使われていたが、1994年からは2200m・別定の今の形となり、ハンデ戦が別定戦になったことによる負担重量の軽減から、より多くの古馬中距離路線の実績馬が集うレースとなり、年明け最初の始動戦とすることも多くなった。
近年はGⅠに昇格した大阪杯(2000m)や、海外遠征としてドバイワールドカップミーティングの芝レースであるドバイターフ(1800m)、ドバイシーマクラシック(2410m)など、3月末~4月頭開催の国内外の芝中距離(中長距離)GⅠレースに向けて使うケースも。

3月の重賞

3月の重賞9つ。

中山牝馬S

旧:中山牝馬ステークス GⅢ 芝1800m 4歳以上牝馬 ハンデ
現:変更なし

アメリカのローレルパーク競馬場との親善のために1972年にオープン特別として創設された交換競走で、競馬番組表では『ローレル競馬場賞 中山牝馬ステークス』の名称が初回より使われている。1983年に重賞へ昇格。ローレル競馬場でも『JRAハンデキャップ(JRA Handicap)』が行われるように。
かつては2月末~3月頭に開催される、繁殖入りを迎える牝馬たちにとって最後の引退レースとしてよく使われるレースだったが、開催時期が3月となった今日では京都牝馬S同様にヴィクトリアMの前哨戦としても使われるようになった。
ただし優先出走権が得られないことに加え、牝馬ステークス唯一のハンデ戦ということもあり、軽ハンデの好走で荒れやすいレースと言える。

マイラーズC

旧:マイラーズカップ GⅡ 阪神 芝1600m 4歳以上 別定
現:マイラーズカップ GⅡ 京都 芝1600m 4歳以上 別定

まだ短距離どころかマイルも少なかった1970年にスプリンター、マイラーの活躍の場を設ける路線拡充のために創設。
当初は4月前半に行われていたが1981年以降は2月末〜3月頭に前倒し、2000年からは4月後半になり現在に至る。
2011年までは阪神での開催だったが、2012年より京都開催となる。距離は中京・1700mで行われたことが2回ほどあったが、それ以外は一貫して1600m。
2014年からは安田記念の優先出走権が得られるようになったが、それ以前から安田記念の前哨戦として認識されており、近年はヴィクトリアマイルを目指す牝馬にとっての前哨戦としての側面も併せ持つように。
しかしそのヴィクトリアMを経由した牝馬が近年安田記念でも好走、対照的にマイラーズカップの勝ち馬は安田記念だけでなくそれ以降も苦しむことが多くなってしまった。

弥生賞ディープインパクト記念

旧:弥生賞 GⅡ 中山 芝2000m 3歳 馬齢
現:弥生賞ディープインパクト記念 GⅡ 中山 芝2000m 3歳 馬齢

1964年の創設当初は1600mの3歳馬限定の別定戦。現在同様の距離2000m、負担重量が馬齢となったのは1984年から。
1800m時代の1982年より皐月賞のトライアルとして優先出走権が与えられるようになったが、皐月賞と同様の中山・2000mとなったことでより重要な競走となる。クラシックのトライアルだが騙馬の出走も可能である。
このレースが初の重賞制覇だった無敗三冠馬、"英雄"ディープインパクトの現役・種牡馬時代の功績を称え、2020年より『弥生賞ディープインパクト記念』へと改名。
中央競馬としては約半世紀振りとなる久々の馬名が入った記念レースとなったのだが、副題を含めた競馬番組表での正式名称は『報知杯弥生賞ディープインパクト記念(皐月賞トライアル)』。長すぎ。

かねてより皐月賞以外のクラシックでも優勝・好走が目立ち、特に改名から3年間の勝ち馬3頭中2頭が菊花賞馬(残り1頭も菊花賞3着)になったことで『報知杯弥生賞ディープインパクト記念(皐月賞トライアル)(菊花賞トライアル)』と揶揄されたり、改名以前から2着馬以降が日本ダービーで好走するケースが近年多く見られ(ダービートライアル)では・・・とも言われたり、競馬紙には『デプ記』という斜め上の略され方をしたり・・・もはや名前大喜利状態である。
名前はさておき、クラシックの登竜門として最大の出世レースであることに変わりはなく、改名以前から3歳牡馬にとって重要なレースだった。
ちなみに芝2000mで開催される皐月賞トライアルには若葉ステークス(リステッド、阪神開催)も存在し、こちらは優先出走権が得られる皐月賞トライアルで唯一の関西開催である。

アーリントンC

旧:アーリントンカップ GⅢ 阪神 芝1600m 3歳 別定
現:アーリントンカップ GⅢ 阪神 芝1600m 3歳 馬齢

前身は1987年創設のペガサスステークス(GⅢ)。第2回が地方競馬・笠松出身のオグリキャップの中央移籍初戦、かつ中央初勝利だったことで有名。
1992年よりアメリカのアーリントン国際競馬場(後にアーリントンパーク競馬場に改名)と阪神競馬場が提携したのを機にペガサスSが改称し交換競走のアーリントンカップとなる。回次は引き継がれなかったため、ペガサスSが廃止、アーリントンCが新設という形になったが、施行条件はまったく同一で、JRAもペガサスSが前身であるとしている。
元々のペガサスSは短距離及びマイル路線の拡大のために創設されたが、1996年創設のNHKマイルカップ(GⅠ)へ向けて出走するパターンだけでなく、開催時期的に皐月賞、桜花賞(阪神・1600mは本競走と同一)の前哨戦として使うパターンもあり、出世レースの一つだった。
2018年からはNHKマイルCへの優先出走権が与えられるようになったため開催時期は2月末~3月頭から4月中旬(皐月賞の前日開催)にお引越し。完全にNHKマイルCのみへのステップ、トライアルとなった。その際に負担重量も馬齢に変更。NHKマイルCは騙馬の出走不可だが、こちらは可能である。時期が変わっても出世レースとしては未だ健在、GⅡ昇格も視野に入るレベルだ。

ちなみにアーリントン競馬場でも同様に『阪神カップステークス(Hanshin Cup Stakes)』が交換競走でGⅢとして行われていたが、2021年の閉場により、2023年現在はアーリントン競馬場と同運営のチャーチルダウンズ競馬場で『阪神ステークス(Hanshin Stakes)』と名を変えリステッド競走で行われている。
アーリントン競馬場の跡地はNFLのシカゴ・ベアーズが購入しており、この跡地にレストランや小売店などを建設し、新スタジアムの建設・移転計画に組み込むものと思われている。

フラワーC

旧:フラワーカップ GⅢ 中山 芝1800m 3歳牝馬 馬齢
現:フラワーカップ GⅢ 中山 芝1800m 3歳牝馬 別定

前身は同名のオープン特別。1987年に重賞への格上げという形で新設された。
優先出走権こそないが、関東所属の牝馬にとってオークスへと繋がる前哨戦として定着している。
なお桜花賞とはローテ間隔がキツいことから、このレースをステップに・・・というよりかは、収得賞金を積み何とか桜花賞へ出走・・・という、桜花賞への最終切符的な意味合いが強い。牝馬版毎日杯的ポジションである。
2001年に負担重量が別定に変更されたが、中山・1800mは重賞昇格時より変わらず。
ちなみに関東ではアネモネステークス(リステッド・中山・芝1600m・馬齢)が優先出走権が得られる唯一の桜花賞トライアル競走となっている(1990年よりトライアルに指定、かつては阪神開催だったが2000年より中山開催へ)。

中山記念

旧:中山記念 GⅡ 中山 芝1800m 4歳以上 別定
現:変更なし ※別定の基準が変更

1936年に3200mのハンデ戦として創設。目黒記念、日本ダービーに次ぐ長い歴史を持ち、1930年の競走にルーツを持つ伝統あるレースである。
芝1800m・別定・3月中旬開催という条件になったのが1972年。2000年に開催時期が少し前倒しになり2月末~3月頭の開催となった。
元々春の中距離路線の一角として伝統あるレースだったが、2008年に別定の条件が変更され最大斤量が58キロになったために、収得賞金が多く酷量を背負わされがちな実績馬、GⅠ馬たちも気軽に出走できるように。
2017年には同年GⅠに昇格した大阪杯の優先出走権が得られるトライアル競走になり、実力を付けてきた上がり馬たちが大阪杯出走を目指し参戦するレースになった他、近年はドバイワールドカップミーティングや香港のクイーンエリザベス2世カップ(芝2000m)など、3月末~4月末にかけての海外GⅠ制覇に向けてこのレースを選択する者も多くなり、超豪華メンバーの揃うGⅡとなった。

ちなみにかつては年二回開催されていたのだが、廃止されたのは中山記念(春)のほうで、現存しているのは中山記念(秋)である。中山記念(秋)が春に行われるようになった、ということ。

阪神大賞典

旧:阪神大賞典 GⅡ 阪神 芝3000m 4歳以上 別定
現:変更なし

1953年の創設時は2000mのハンデ戦で、12月に開催されていた。
現在の形となったのは1987年。既にこの頃は3000mの別定で行われており、この年以降3月の開催となる。
それからは天皇賞(春)の前哨戦として位置づけられ、多くの名勝負が生まれてきた。
2014年からは天皇賞(春)の優先出走権が付与される。
かつての人気馬が好走することの多い、馬券の堅いレースとして知られていたが、近年は長距離路線の衰退により長距離をこなせるステイヤーの数も減ったためか、以前よりかは荒れることもしばしば。

日経賞

旧:日経賞 GⅡ 中山 芝2500m 4歳以上 別定
現:変更なし

『日本経済賞』として創設されたのが阪神大賞典と同じく1953年。こちらは3200mだったが、第6回以降は2600mの中長距離戦に位置づけられ、1967年より2500mとなり、有馬記念(中山・2500m)と同一のコースとなった。
6月末~7月頭の開催だったが1984年に3月末~4月頭に移行し、それからは阪神大賞典同様に天皇賞(春)への前哨戦として位置づけられ、2014年からは優先出走権が与えられた。
完全な長距離レースである阪神大賞典と違って、中長距離の2500m故に他路線の一流馬が比較的狙いやすい。故に阪神大賞典より荒れやすくもあり、一方で人気馬が実力通りの活躍を見せることも多く、中々読みにくいレースと言えるのでは。
700mの距離の差はあるが日経賞を経て天皇賞(春)を好走する者も多い。

フィリーズレビュー

旧:4歳牝馬特別(桜花賞TR) GⅡ 阪神 芝1400m 3歳牝馬 馬齢
現:フィリーズレビュー GⅡ 阪神 芝1400m 3歳牝馬 馬齢

『阪神4歳牝馬特別』として創設された1967年から、桜花賞のトライアル競走として優先出走権が与えられていた。
その後1983年から名称から『阪神』が外れたのだが、1966年より東京でも『4歳牝馬特別』が行われていたため、区別のためこちらは『4歳牝馬特別(西)』や『4歳牝馬特別(桜花賞TR)』などと呼称された。
馬齢表記の変更があった2001年に『フィリーズレビュー』に改称、同時に東の4歳牝馬特別も『フローラステークス』に変更され、混同の恐れはなくなった。
施行条件は一時期だけ1200mだったが創設時より基本的には1400m。

しかしこの1400mという距離が厄介で、桜花賞と同条件の阪神・1600mで行われるトライアル競走、チューリップ賞(1984年にOP特別のトライアルとして創設、GⅢを経て2018年にGⅡ昇格)が桜花賞を目指す牝馬にとっては激戦区、かつ本番でも好走が期待できるのに対して、こちらは「1600mはちょっと長い」という馬が「純粋にこのレースを勝ちに行く、桜花賞はあわよくば」というパターンや、実力下位の馬が強豪揃いのチューリップ賞を避けたいパターンなどがあるため、年々桜花賞に直結するレースと言い難くなってきているのが現状である。それでも伝説の桜花賞大差勝ちテスコガビー、初の牝馬三冠メジロラモーヌなどを輩出した歴史もある。

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