「乳首」ってよくよく考えたらおかしくない?「乳頭」でいいじゃん

投稿日:2023/08/02

山の絵です。他意はございません。

昨日は8月1日。
パイ・・・ということで、ツイッターのタイムライン上はアイドル達の水着写真などで賑わっていたが、それを眺めながらふと思った。

なんで「乳首」は「乳」と呼ぶのかと。

※あくまでこの記事は言葉の意味を考える話であって成人向けコンテンツではありません、お子様でも安心して楽しめます。知らんけど


この記事は7分ぐらいで読めるらしいですよ

多言語乳首について知ろう

尖がった英語乳首、独語乳首

日本語の話の前に、少し外国語のお勉強をば。
乳首は英語でニップル(nipple)と言う。二プレス(ニップレス)って代物もありますね。
これは知っている人も多いだろう。

英語の語源をまとめたオンライン辞典の「nipple」のページ曰く、「口先、鼻、鳥のくちばし」を意味する「neb」という単語がnippleの元だそうだ。
それが16世紀に乳首のみを表す「neble」という単語に変化、次いでそのnebleがnippleへと変化し、18世紀にはnippleは機械の部品の名前などにも使われる単語になり、19世紀には哺乳瓶の先端部もnippleと呼ぶようになったらしい。

どうやらnebという単語は様々な「小さな突起物」を意味していたらしい。だから人間であれば口先や鼻、鳥であればくちばしを意味する単語として使われたようだ。
もし言語の変化がちょっとズレてしまい、乳首のこともnebと表現するようになっていたら、英語圏の人々は口、鼻、胸に計4つの乳首(neb)を持っていたのかもしれない・・・。

英語以外の言語を見てみると、ドイツ語乳首の「brustwarze(ブルストヴァルツェ)というのも面白い。
brustというのは胸、英語のブレスト(breast)と一緒ですね、ブレストファイヤー。
そしてwarzeはイボ。胸のイボで乳首、というわけだ。
「イボ」という日本語を改めて調べると、皮膚が盛り上がっているできもののことを意味し、この盛り上がっている点が「うおのめ」との違いだ。イボは盛り上がっているからこそイボ。
つまりbrustwarzeは胸の中で盛り上がっている部分、といった感じ。突起物・・・先端を意味する英語乳首とドイツ語乳首はよく似た表現だと感じる。

豊かさの象徴仏語乳首

他にもフランス語乳首なんかにも面白く興味深いエピソードがある。
フランス語乳首は「mamelon(マムロン)」。この単語はあるフランス人によって火山学の用語として用いられている(参考Wiki)ほか、「ヨーロッパの火薬庫」バルカン半島やクリミア半島で繰り広げられたクリミア戦争の際には、Mamelon(別名:ゴードンの丘)と名付けられた胸のような形をした丘でも激戦が繰り広げられた。

そのmamelonと語源が一緒なのかどうかは詳しく調べることができなかったが、ケルト語で「胸、胸のような山」を意味する「mamm」をラテン読みした「mamuciam」という名で古代ローマ時代に呼ばれていた地がイングランドにある。その場所が現在のマンチェスターである。マンチェスターのマンは胸のことなのだ。
強豪サッカークラブ、マンUことマンチェスター・ユナイテッドも、大本の語源的な意味で呼ぶなら「おっぱい山町連合」みたいになってしまうわけだ。最悪すぎる。小学生しか喜ばんわそんなん。

こういったマンだとかマムだとかマメだとかが頭につくタイプの乳首は、総じて山や丘といった意味合いを含んでいる。
我らが日本でも女性の胸を山や丘に例える表現はあるし、そう考えると海外乳首との共通点、親近感がある。
そして英語乳首やドイツ語乳首のような、隆起したもの、その頂点、とも同じようなニュアンスだ。
どの国の言語においても、大体乳首の意味は共通で、ワールドワイド乳首なのだ。

何故か使われない乳「頭」

それならば、ワールドワイド乳首ならば。
我が国における乳首の呼び方も、「乳がスタンダードになっていないとおかしい。

乳頭・・・ちくびではなくにゅうとう。
これならば胸の中で最も盛り上がっている部分、山の頂点・・・そういったイメージにぴったり合う表現だ。
頭じゃくて首だったら、日本人は胸に二人のデュラハンがいることになってしまう。なんとも恐ろしい。

しかし、乳頭という言葉は存在するのにも関わらず、びっくりするぐらいマイナーな表現だ。
一応医学の世界ではメジャーな表現らしく、インターネット上で「乳頭」で検索をすると病名や整形や病院のページなどが上位にヒットする。「乳首」だと当然の如く成人向けのサイトが出てくるが。

でも、乳首から卑猥なニュアンスを抜いた言葉が乳頭・・・と説明を受けてもピンとこない。
もし乳首が卑猥な言葉だとしたら、一般的に広く使われる言葉として普及はしないだろう。
別にやましい心を持たずに「乳首」と呼ぶパターンだってあるはずだ。
なのに何故これまでに乳頭が浸透していないのか。

そもそも、漢字文化の大先輩である中国語パイセンだって、乳首のことは「乳头」と表している。
「头」の字は「頭」を示し「トウ」と読む。つまり中国乳首も乳頭派なのだ。
どうして日本では首に変化したのだろう?

おさむらいさんが悪いのか

何故日本では乳首が乳頭のシェアを奪い覇権に立ったのか?
まさか久本雅美の「よろちくびー!」の影響ではあるまい。
それ以前から、乳首という表現がポピュラーだったはず。

そう考えているうちに、思いついたことがあった。
日本では会社を解雇されることを「クビになる」と言う。
英語で解雇は「fire」などが使われる。ブレストファイヤー(2回目)。
しかし他の「解雇」を意味する英単語のいずれも、身体の部位としての「首」の意味を含んでいない。
「ネック」という単語が物事を行う上での障害、といったネガティブな意味を含むが、それとこれとはちょっと違う。乳ネックにネガティブな意味はないもんね。

乳首が何故「首」なのか考えても答えは出ない、だが「首」という言葉の意味の変遷を辿れば答えに辿り着けるんじゃないか。
「クビになる」という言葉のおかげでそういう発想に至ったのだ。

そうやって考えたところ、一つの可能性が見つかった。
それが「首を取る」「さらし首」といった表現だ。
敵軍の大将を倒すことを「首を取る」と言う。時代劇とかでも耳にする台詞だ、「○○の首を取れ!」とか「その首もらった!」とか。
で、首を取ったりもらったらどうするか。そうです、晒し首にするんです。

でもこの「さらし首」というのがよくよく考えればおかしい。
だって晒しているのは頭部、頭だ。「さらし頭」じゃないか!

きっと誰かが頭を晒しているのに「さらし首」と言って定着したのでしょう、そこからさらし首にするために「首を取れ!」と誰かが言い出して、「首」という言葉に「重要」みたいな意味が付加された。

その結果、後年「首相」だとか、「会社をクビに・・・」とか、そういうインポータントとしての首という意味が生まれ、乳の重要な場所、インポータントプレイスとして「乳首」と呼ばれるようになった・・・。
どうですこの推理!?完璧だと思いませんか!?

本来の「首」の意味とは?

この自説を手に意気揚々とネットの海に潜り、「首」という言葉の語源を調べてみた。
すると、Wikipediaの「首」のページに書いてあった、首という字の言葉の変化が。

ところが「さらし首」に目を付けた僕の持論は、目の付け所としてはバッチリ合っていたのだが、真実は予想の斜め上であった。
首はもともと「頭」を意味する言葉であり、身体の部位を指して「首」と呼ぶことになったのは「さらし首」などの影響だったのだ。
・・・・・・どゆこと・・・?

かつては首の部位を「頸(けい)」と呼んでいた。「頸動脈」の頸だ。これがもともと首を表す漢字だった。
対して、首という字はもともと「頭」を表す漢字で、首には「首(頸)」という意味はなかった。
トップを表す、というのも本来の意味であり、「首相」だとか「首位」だとか、そういう言葉は「さらし首」の影響で意味が変化したのではなく、元々中国から伝わってきた漢語のときからそういう意味で使われていたのだ。

ところが、罪人や敵の首を斬り落とす慣習の影響で、首(現在の頭の意味)を落とすために切る場所も首(頸部、現在の意味の首)と呼ぶようになる。
さらに、頸から頭にかけた全体を指した頭部全体も「首」という意味が生まれ、頭も首、頸部も首、頭部も首と、頸部から上全ての意味を首がコンプリートしたのだった。

首という字に頭=重要という意味が加わったのではなく、首という字に頸という意味が後から加わった。
元から首は頭だったのだ。
つまり僕の説は逆だったことになる。
首を突っ込む、クビになる、首相に首都に首位・・・これらは頭という意味での「首」のため元からの意味のほう。首の意味の変化は関係なかったのだ。

「乳首」と「乳頭」は同じ。しかし・・・

ただし、いつごろ首の意味が変化したか?ということはWikipediaには書いていなかったし、あくまでその説も推測にすぎないらしい。
この説を証明するためには、いつごろ首という言葉の意味の変遷が起こったかという確かな情報が必要だ、今はまだソースが足りないよ、とのことだ。

しかし、首の意味の変遷がさらし首に起因するものだったのかどうかの真偽は別として、首の本来の意味が頭だった、という情報が手に入っただけで僕としては大満足なのだ。
乳首も乳頭も要はまったく同じ意味。乳首だけ頭がないんじゃない、首は元から頭だった。
世界中の民族の中で日本人だけデュラハン乳首というわけじゃなかった!日本人の乳首にも昔から頭はちゃんと付いていたんだ!
乳首は世界共通!ワールドワイド乳首です!
世界平和だ!やったーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!

・・・ただ、これで全ての問題が解決したわけではない。
「乳首」と「乳頭」、何故どちらもまったく同じ意味を持つならば、どうして乳首がメジャーで乳頭のほうはマイナーなのか。
例えば会社を解雇されることを「クビが飛ぶ」の呼ぶのは「首の皮一枚繋がった」のような、極めて致命傷に近いが、まだ生きる可能性はある、というニュアンスだ。もしこれが「頭が飛ぶ」だったら絶対助からないでしょ。そんな表現が流行るはずはない。
ただ、乳頭が流行らない理由がイマイチよく分からない。表現的にそこまで悪い言葉じゃないはずだ。もしかしたらさっき切り捨てた「よろちくびー!」効果で乳首シェア率が向上してしまったのか・・・?
そもそも日本の歴史の中で乳頭派が乳首派を上回ったことはあるのか、どっちの言葉が先に生まれたのか・・・。
まだまだ究明すべき謎は多い。未知なる神秘の世界、乳首―――。

注目の投稿

「乳首」ってよくよく考えたらおかしくない?「乳頭」でいいじゃん

昨日は8月1日。 パイ・・・ということで、ツイッターのタイムライン上はアイドル達の水着写真などで賑わっていたが、それを眺めながらふと思った。 なんで「乳首」は「乳 首 」と呼ぶのかと。 ※あくまでこの記事は言葉の意味を考える話であって成人向けコンテンツではありません、お子様でも安...

ブログ内検索

ブログ アーカイブ

Powered by Blogger | Designed by QooQ